「夫(妻)がマッチングアプリで不倫していたことが発覚した!」
このような場合、慰謝料は請求できるのか、そのためにはどうすべきなのか、わからないことも多いでしょう。
マッチングアプリに登録していただけでは、慰謝料を請求できる不倫とはいえません。
また、慰謝料請求が可能な不倫であっても、慰謝料請求のためには、それなりの準備をしておく必要があります。
そこで、このコラムでは、マッチングアプリをきっかけとする不倫で慰謝料を請求するための条件や、その方法について解説します。
マッチングアプリ不倫|慰謝料請求できる場合とは?

夫(妻)がマッチングアプリをしていたからといって、それだけで慰謝料を請求できるわけではありません。
基本的には、「不貞行為」があった場合に慰謝料請求が認められます。
「不貞行為」とはなんですか?
「不貞行為」とは基本的に、配偶者以外の人と自由な意思でする性行為、およびその相手となることです。
ただし、性行為(肉体関係を持つ)には至らなくても、性的に密接な関係(一緒に風呂に入る、愛撫をするといった性交類似行為など)になった場合には、不貞行為になることがあります。
一方、2人きりで会う、食事をする、手をつなぐ、SNSでやり取りをするといった行為だけでは、不貞行為とはいえないでしょう。
マッチングアプリ不倫|不倫相手にも慰謝料請求できる?
マッチングアプリによる不倫が、不貞行為にあたる場合、不倫の当事者である夫(妻)や不倫相手に慰謝料を請求できるのが原則です。
ただし、不倫した夫(妻)に慰謝料を請求できる場合であっても、不倫相手には慰謝料を請求できない場合があります。
たとえば、夫(妻)が既婚であることを隠してマッチングアプリに登録し、不倫相手が「既婚者であることを知らなかった」あるいは「注意していても知ることができなかった」といえるケースです。
この場合、不倫相手への慰謝料請求は認められません。
つまり、不倫相手に対して慰謝料請求をするには、次の条件が必要です。
- あなたの夫(妻)が既婚者であることを知りながら不貞行為におよんだ(故意)
- 既婚者であることを知らなかったとしても、気づかなかった点に落ち度が認められる(過失)
マッチングアプリでは、既婚者であることを隠して登録していることも多いため、不倫相手に故意または過失が認められない場合があります。
この場合、不倫相手への慰謝料請求は難しいでしょう。
慰謝料請求の条件について詳しくは「慰謝料を請求できる条件とは?浮気相手や配偶者に請求できるケース」をご覧ください。
マッチングアプリ不倫|どのような証拠が必要?
慰謝料請求を成功させるためには、証拠が重要です。
具体的な証拠をいくつかご紹介します。
メールなどのやり取り
マッチングアプリ不倫の場合、夫(妻)と不倫相手がメールやメッセージアプリ(LINEなど)でやり取りしていることが一般的です。
たとえば、夫(妻)と不倫相手との間で、次のような内容のやり取りがあれば、不倫の強力な証拠となる可能性があります。
- 「エッチをしよう、エッチをした」などの内容
- 「気持ちよかったよ」「またしようね」など肉体関係があったことをうかがわせる内容(「好きだよ」「会いたい」では肉体関係があることまではわからない)
- 不倫相手とラブホテルで過ごしたことがわかる内容
- 不倫相手と宿泊を伴う旅行をしたことや、不倫相手の家に泊まったことがわかる内容
上記は「不貞行為の存在を示す証拠」の例ですが、マッチングアプリでの不倫の場合、不倫相手の故意または過失を示す証拠をつかんでおくことも重要です。
そのため、以下のようにあなたの夫(妻)が既婚者であることを、不倫相手が認識していることを示すやり取りも重要な証拠になります。
【具体例】
「奥さんにはなんて言い訳したの?」
「離婚しないの?」
「子どもはもう寝た?」
「旦那にはバレないようにしないとね」 など
写真
また、写真が不倫の証拠となることもあります。
たとえば、次のような写真があれば、不倫の証拠となります。
- 不倫相手との裸(下着姿)のツーショット写真
- 夫(妻)が撮った不倫相手の裸(半裸)の写真
- ラブホテル内と思われる場所でのツーショット写真
- 性行為中の写真(写っている人物が誰なのか判別できるもの)
別人であると言い訳されないため、写っているのは不倫相手と夫(妻)であることがわかる写真であることが重要です。
一つでは強い証拠とはいえない場合でも、ほかの証拠と組み合わせることで、強い証拠となる場合があります。
手持ちの証拠で大丈夫か不安な場合には、弁護士に相談するとよいでしょう。
慰謝料請求をするためにはどうすればいい?

次に、慰謝料請求の具体的な流れや方法について説明します。
基本的にはまず、話合いによって、慰謝料の金額や支払条件を交渉し、合意することを目指します。
話合いによって合意がまとまれば、裁判などを行う必要はありません。
しかし、話合い自体が難しい場合や、合意できなかった場合には、裁判を起こして慰謝料を請求するという流れになります。
(1)話合い

話合いができる場合には、そのなかで慰謝料を請求します。
慰謝料の支払いについて合意がまとまった場合には、示談書といった書面を作成するようにしましょう。
書面を作成しておくことで、合意後に「気が変わったから支払わない」といったトラブル再燃のリスクを減らすことができます。
また、口頭での話合いでは曖昧になってしまう部分も、書面を作成しておくことで明確にできます。
(2)裁判

裁判を起こしたからといって、裁判官の判決を待つのみというわけではありません。
当事者双方に和解の可能性がある場合には、裁判官から和解をすすめられ、当事者にとって納得がいく形での解決(和解)を行うこともあります。
合意が難しい場合(和解できない場合)には、裁判官が、慰謝料を支払うべきか否か、支払うべきだとして金額はいくらか、などについて判断します(判決)。
話合いとは違い、裁判は通常、月に1回程度しか開かれないため、解決までに時間がかかってしまうというデメリットがあります。
また、裁判をするためには費用もかかります。
しかし、デメリットがあるからといって必要以上に裁判を避けることはおすすめしません。
裁判を避けるために話合いの段階で解決しようとして、納得のいかないまま合意してしまうと、後悔することになったり、のちに紛争が再燃したりすることもあるからです。
不倫慰謝料の請求方法については「交渉、調停、裁判。慰謝料トラブル解決の3つの手段!」もご覧ください。
不倫慰謝料の請求には、ほかにも「調停」という手段が存在します。
裁判は、最終的に判決で白黒つける(裁判上の和解が成立した場合は除く)こととなりますが、調停はあくまで裁判所を介した話合いです。
そのため、調停でも話合いがまとまらなければ、結局は裁判が必要になるケースがあります。
不倫の慰謝料を獲得するためのポイント
不倫の慰謝料請求を成功させるためには、次のポイントを押さえておきましょう。
- きちんと不倫の証拠をつかんでおく
- 慰謝料請求を弁護士に依頼する
(1)きちんと不倫の証拠をつかんでおく
慰謝料請求を成功させるためには、適切な証拠をきちんとつかんでおくことが重要です。
裁判ではなく話合いで解決する場合でも、強力な証拠があれば交渉を有利に進められる可能性が高まります。
証拠が少ない場合には、探偵などを使って証拠を集めることを検討してもよいでしょう。
(2)慰謝料請求を弁護士に依頼する

慰謝料請求を弁護士に依頼することには、次のようなメリットがあります。
適正な金額の慰謝料を獲得できる可能性が高まる
慰謝料請求が可能な条件などの法律知識や、慰謝料の相場がわからないまま不倫相手との交渉に臨んでも、言いくるめられてしまいかねません。
たとえば、そうとは知らずに、不当に安い金額で合意してしまい、あとで悔やむことになってしまう事態が考えられます。
相場について詳しくは、「浮気・不倫(不貞行為)の慰謝料の相場はいくら?」をご覧ください。
ストレスや負担を軽減できる
不倫相手と直接やり取りする場合、交渉には強い精神的ストレスが伴うことでしょう。
被害者と加害者という当事者同士であるため、どうしても感情的になってしまい、交渉が決裂してしまうことも少なくありません。
この点、弁護士に依頼すれば、交渉窓口は基本的に弁護士になるため、不倫相手と直接やり取りする必要はありません。
また、仮に裁判になった場合、裁判は通常、平日の昼間に行われます。
仕事をしている方がすべて自分で対応することは負担が大きいでしょう。
この点、弁護士に依頼していれば、基本的には本人ではなく弁護士が裁判所に出向く(※)うえ、難しい手続や提出する書類の作成は弁護士に任せることができます。
※「当事者尋問」が行われる場合には、本人が裁判所に行く必要があります。
書面作成まで任せられる
不倫相手との話合いがまとまれば、その内容を書面にしておくべきことはすでにご説明しました。
弁護士に慰謝料請求を依頼した場合、通常は交渉だけでなく、合意内容についての書面作成まで任せられます。
のちのちトラブルが再燃することを防ぐためにも、きちんとした形で書面を残しておくようにしましょう。
【まとめ】マッチングアプリ不倫で慰謝料請求するには、証拠の確保が重要!
不倫で慰謝料を請求するためには、「不貞行為」の存在が必要です。
不貞行為とは基本的に、配偶者以外の人と自由な意思でする性行為、およびその相手となることです。
しかし、マッチングアプリをきっかけに不倫が始まった場合、不倫相手が、あなたの夫(妻)が既婚者であることを知らないこともあり得ます。
不倫相手に慰謝料を請求する場合、「既婚者であることを知らなかった」あるいは「注意していても知ることができなかった」といえる場合、慰謝料請求は認められません。
そのため、不倫相手への慰謝料請求を成功させるためには、不貞行為の存在を示す証拠だけでなく、不倫相手の認識を示す証拠も一緒につかんでおくことが重要です。
しかし、「どのような証拠が必要なのか」、「慰謝料として適切な金額はいくらなのか」など、疑問に思うことも多いでしょう。
また、慰謝料トラブルは、話合いによる解決のほか、裁判などによる解決も存在します。
いずれの方法にせよ、法律の知識が必要な場面は多いため、慰謝料請求は弁護士への依頼がおすすめです。
配偶者がマッチングアプリで不倫をしてお悩みの方は、不倫の慰謝料問題を積極的に取り扱っているアディーレ法律事務所にご相談ください。
どのようなことに関しても,最初の一歩を踏み出すには,すこし勇気が要ります。それが法律問題であれば,なおさらです。また,法律事務所や弁護士というと,何となく近寄りがたいと感じる方も少なくないと思います。私も,弁護士になる前はそうでした。しかし,法律事務所とかかわりをもつこと,弁護士に相談することに対して,身構える必要はまったくありません。緊張や遠慮もなさらないでくださいね。「こんなことを聞いたら恥ずかしいんじゃないか」などと心配することもありません。等身大のご自分のままで大丈夫です。私も気取らずに,皆さまの問題の解決に向けて,精一杯取り組みます。